DFMA(Design for Manufacture & Assembly)

Photo by KOUSAKU HIRANO

DFMA(生産のための設計)手法の特長

1. 製品設計の数値目標(設計の良し悪しの数値基準を提供) 2. 製造性(つくり易さ)を考慮した設計を実現するコミュニケーションツール 3. 設計初期段階のコスト見積
開発の初期段階で、設計者は技術仕様や機能要求を満足させることに注力するため、量産時のコストにまで気配りをするのは難しいことでした。 実際には製品のコンセプト設計段階に十分な時間をかけることにより、全体の開発期間をおよそ4割削減することができるという研究結果が報告されています。
図1: 製品開発段階ごとの消費時間(Ford Motor Company)
コスト要因のうち80%は製品設計の初期段階で決まるといわれています。 この段階を過ぎてしまうと製法や材料を変更することは大きなリスクを伴い、大幅なコスト削減は困難になります。 限られた日程の中で設計者は、使い慣れた材料と製法で設計を行うケースがほとんどです。 結果として、設計が完了した製品に対して、コストの大半を占める材料の変更はできないために、コスト改善を行うために製造現場での改善活動に過度に依存することになります。 設計段階で、異なる材料や加工法について量産時のコスト見積りが容易にできるとしたらどうでしょうか?

DFMA(Design for Manufacture & Assembly)がその答えを提供します。

DFMA(Design for Manufacture and Assembly)とは?

DFMAはロードアイランド大学の2人の教授であるブースロイド博士とデュウハースト博士により開発された手法で「組立が容易な製品設計は部品数が最小になる」という考え方に基づいています。製造コストの8割は、設計の初期段階で決定されるといわれ、基本設計の段階で、様々な加工方法と異なる材料を使った製造コストを比較することにより、生産工程を最も有効に活用した部品を設計することができます。
DFMAの3つの使い方

レベル1 サプライヤコストの見積

“あるべきコスト (should-cost)” の見積りツールとして、サプライヤコストの見積りや価格交渉に利用

レベル2 製品コスト低減

VA/VE、ベンチマーキング ツール として使用し、自社と競合製品の加工方法、材料、組立方法を評価し、改善策を検討する。

レベル3 製品単純化

設計部門が製品構造の単純化を行うことにより製造組立コスト低減を実現する。

DFMAは2つのモジュールから構成されています。

DFA(Design For Assembly)は、部品の統合による部品点数の削減と組立の簡略化により製品の単純化を目指します。DFA理論(部品削減のガイドライン)に照らし、構成部品全てに対してその部品が必要か、または削除可能か判定していきます。DFAにより、部品の一体化を進めることにより部品点数は最小化され、組立コストが低減されます。 その反面、部品の一体化を進めたことで個々の部品形状が複雑になり部品コストが高くなっている可能性があります。この場合は、DFM (Design For Manufacture)を用いることで、様々な材料と加工方法のオプションに基づき個々の部品コストと型費の正確な見積りができます。 最終的な製品設計の評価としては、DFAの組立コスト、DFM(または各社の部品コスト評価法)の部品コストをトレードオフすることで、最も安くなる製品を目指します。
DFA(Design For Assembly)の詳細はこちら DFM(Design For Manufacture)の詳細はこちら

DFMA 理論に関する書籍

Product Design for Manufacture and Assembly, Third Edition

米国の経営工学(IE)のの教科書として幅広く使用されています。製品コストを念頭に製品設計する方法を具体的に例示している。

生産コスト削減のための製品設計 (改訂版)日経BP社 在庫切れ中

製品原価低減のために米国の製造業が必ずといって良いほど使っているDFMA手法をあますところなく公開している。

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